「欧州から愛をこめて」
今野氏は「原作を2、3枚読んだとき、直観的にドキュメンタリータ・チでいけると決めました。だが、この画面にドラマとドキュメンタリーを融合するか悩んだ。ドラマの部分の次にドキュメンタリーの部分が出てくるという意昧では全然ないわけで、つまり役を演(や)ることと、役を演りながら自分を考えることが同時に進んで行くみたいな―そういうことをやってみた」と解説しました。
仲代達矢は「20年間、私も役者としていろいろな人物にふんし演じ分けて来たのですが、このドラマは実在の人物の実際の物語を劇化しているだけに、下手に役者叢技の計算を立てたりすると失敗する」と語り、ドキュメンタリードラマとVTRロケという二つの初めての経験のなかで、「あまり演らないほうが良いんだね」という感想をもらしたといいます。
すなわち、"演らない演技"という難題に挑戦したのです。
この90分ドラマは、3時間ドラマなどの長時間ドラマやドキュメンタリー・ドラマという新分野を切り開いていく起爆剤となり、テレビ番組に新生面をもたらしました。
そして、技術的には初めてVTR海外ロケを行い、ビデオの威力を発揮、実在感の強いドラマづくりに成功しました。